小金井発!芸術文化を書くこと/伝えること講座

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第2回|小金井へ遠足してきました!

11月16日。雨もぱらつく日曜日。小金井へ遠足に行ってきました。前号で報告した横浜遠足に続く、第2回遠足です。10時半に武蔵小金井駅北口に集合。そこからバスに乗って江戸東京たてもの園へ。大正の看板建築の街並み、「千と千尋の神隠し」のアイディアとなった三省堂の地下空間や子宝湯、高橋是清や前川國男に三井家など著名人の邸宅、囲炉裏の焚かれた農家。ひとつひとつの建物をじっくりと、2時間かけて園内をめぐりました。

小金井遠足1

 それでも、時間は足りず、最後になってしまった農家ゾーンはさらっと見るくらい。特別展は行くことができませんでした。昼食は園内で江戸野菜の入ったうどん。お腹も落ち着いたところで、たてもの園から次の予定の東京学芸大学へ向かいました。
 「たてもの園を見てしまうと、あそこに並んでいる家もいまいちに見えるね」
 バス停で道路向かいの建物を見ながら、参加者の一人からそんな言葉が出てきました。建物は誰にとっても身近な存在。私たちは建物に住み、建物に囲まれて暮らしています。だからこそ、たてもの園は知識がなくとも、それぞれの経験から想像や比較をすることで楽しむことができました。そして、たてもの園での経験は、身近な「建物」を改めて見直すきっかけも与えてくれたように思います。

小金井遠足2

 バスに乗って、たてもの園から武蔵小金井駅へ。バスを乗り換え、学芸大へ。学芸大芸術館では15時からダンスカンパニーノマド〜Sの公演「アート〜自然・身体・ダンス」を見てきました。環境をテーマにした新作公演。ノマドの公演が一時間、その後に映像上映もありました。公演は「かんきょう博覧会2008 in 小金井」の公式イベント。さまざまな展示が行われ、沢山の人が集まり活気づいた会場の一画で行われました。公演は劇場公演と同じような緊張感のあるもの。しかし、周囲の会場の雰囲気で、心の準備が伴わず、やや戸惑いも多くなってしまいました。
 学芸大の公演では受講生数人とも合流し、芸術館入口で開店していた出茶屋さんのコーヒー片手に会話も楽しめました。それから、受講生の案内で学芸大キャンパスをぐるりと一周。そして、武蔵小金井駅に戻ってから始まった飲み会は夜更けまで続くのでした…。いつも講座は小金井南側ばかりでしたが、今回の遠足では馴染みの薄かった小金井の北側をじっくりと満喫することができました。

(佐藤李青)

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「たてもの園よかったですね」と、遠足帰りの車中でSさんによけいな事を言ってしまった。よけいな事というのは、「よかったところを次の講座通信に書いてください」と、すかさずSさんから返ってきたからだ。そう言われても『たてもの園』の何処がよかったのか、すぐに言葉が浮かんでこない。困ったものだなと思いながら家路をいそいだ。

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『たてもの園』のことは以前から知ってはいたが、行くのは今日が初めてだった。武家屋敷の隣に洋館が並ぶキッチュな空間の中を建物の外観を見ながら歩き回る、そんな建物の墓場ような光景を思い描くことで『たてもの園』を今まで遠ざけてきたのだ。だから正直『たてもの園』には期待を持たないまま向かったのである。しかし実際はそうではなかった。園内の豊な緑をうまく使い、庭も移築し、建物が周りの環境に自然と溶け込むように配慮されていた。しかもそれら建物の中に入ることができる。朝靄たちこめる公園の中で、『たてもの園』は嬉しいことに私の思い込みを裏切ってくれた。

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 商家や銭湯、居酒屋などが昔の下町の風景を再現している。店先には当時の商品が揃えられ、来園者は一昔前にタイムスリップさせられる。茅葺きの民家ではボランティアの方々により囲炉裏に火が入れられ煙が立ち上る。「いらっしゃい」「おじゃまします」と声を掛け合い家の中へと上げてもらう。田舎の親戚を訪ねたようなものである。前川國男邸のソファに腰をしずめて近代建築家に思いを馳せてみる。三井邸では円山派の花鳥画に目が奪われる。釘隠し等の小物も素晴しい。タイルやガラス、ドアノブなどディテールへと目が向かい、見ることにきりがない。神々は細部に宿る。時間がどんどん過ぎていく。
 此処では建物は、見る対象として、そして体験する対象として在る。

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 囲炉裏に火を入れることは茅葺き屋根の防虫対策でもある。階段の手摺は触られ続けることでより人に馴染むものとなる。人の出入りは建物の中へ新鮮な外気を送り込み、過ぎ去った人々の暮らしは壁や柱の中に時間の蓄積を染み込ませていく。
 建物は人との関わりの中で生きている。

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『たてもの園』での楽しみは次から次へと建物を巡ることだけではないだろう。今日のように雨が降り肌寒い日は外を歩き回らないのもいいかもしれない。囲炉裏の煙の香ばしい刺激を鼻の奥に感じながらゴロンと体を楽にして雨の音をただぼんやりと聴いてみる。そして足下で丸く寝そべる猫のことを思ってみる。帰りの車中で「よかったですね」とついうっかりしゃべってしまったのは、かつていっしょにいたネコの温もりが心の奥底に残っていたからかもしれない。
 建物は人の記憶を呼び起こす。

(和田純)